シネマとキリスト教音楽


映画に登場する賛美歌やキリスト教音楽の紹介です。シネマには、キリスト教のテイストがいっぱいです☆
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映画「氷点」 フランク・オルガンコラール1番

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山本薩夫監督(1966)
若尾文子、安田道代、船越英二、山本圭、津川雅彦、森光子

三浦綾子さんの小説にはまったのは、小学生か中学生の頃だったろうか。体調が悪くて学校を休んだとき、こっそりと布団の中でむさぼるように読んだことがよみがえる。彼女の作風はとても重たくていかにもプロテスタント的に思う。時にカトリック作家の方が好みなのだけれども、日本においてはやはり欠かせない作家であったことは間違いない。

この名作は何度も映画化・ドラマ化されていたようだ。スカパー!で1971年版小山明子主演の「氷点」が入り、ちょうど1年の中でもっとも時間がある時期だったので全話を観ることが出来た。今観ると少し「くさい」演技もあるのだが、登場人物はみな役柄にぴったりだし、何よりも小山明子演ずる陽子の継母夏枝がそれまで美しかったのに、陽子出生の事実を知った後に鬼のような形相に変化していくあたりの演技が素晴しい。氷のような冷たい美しさがあるのでなおさら演技が引き立つ。

小説のテーマは「原罪」だ。私たちが生まれながらに持つ「罪」。これはキリスト教ではベーシックな信仰理解である。それにしても、ここまで全ての人に暗く語れない過去を持たせるとは・・ストーリーの細かな部分を忘れていたので、改めて背筋が凍る思いがした。

ドラマ版は全50話だが、それに比較すると100分弱の映画は少々はしょっている部分もあるにはあるのだが、映画ならではの重苦しさが全編に漂っている。時代設定もドラマよりも少し昔で、開業医辻口医院の自宅はドラマよりも映画の方が豪華で趣がある。ヨーロッパの磁器や洋酒が庶民の憧れであったこともよく分かる。またアイヌの風俗が2-3度登場するのも映画版の特徴。より北海道というロケーションが意識されているのか。

音楽で特徴的な曲は2曲。1曲目は映画の冒頭で夏枝が演奏しているショパンの幻想即興曲。この時代ピアノを弾ける=育ちがよいことの象徴だったであろう。そしてあまりにさり気なくて気づかない方も多いと思うが、驚いたのはセザール・フランクのオルガンコラール1番のオーケストラアレンジが何度も静かに登場しているのだ! 静かすぎてまるでオリジナルのBGMに聞こえるかもしれないが、確かにあの曲である。フランクが晩年に作曲した3曲のコラール曲の第1曲目。ちなみにドイツの教会賛美歌(コラール)とは違い、フランクがオリジナルで創った「コラール」である。

学生YMCAやYMCA関係者にはよく知られているが、小説「氷点」にも登場する実在した洞爺丸沈没の事件。北海道には滅多に来ない台風によって青函連絡船が沈没してしまったのだが、その際に命を落としたストーン宣教師とディーン・リーパー氏。リーパーさんは学生YMCAの出張の帰りに洞爺丸に乗船し、自分の代りに他の人を助けて命を落とされたという。彼を迎えるはずの東北大の学生Gさんは、そんなリーパー氏の生きざまに深い感銘を受けて後に遺志を継ぐかのようにYMCAのスタッフになられるのだ。
映画では時間の関係で洞爺丸事件のエピソードは描かれていなかったが、まさに「愛とは何か/罪とは何か」という人間が生きていく上での特級のテーマを扱った力作である。
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by mt-musique | 2006-03-02 11:41 | コラール

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